起業する前に ~起業の目的を決めておこう!~

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この記事では、起業の準備を始める前に確認しておきたい「起業の目的」ことについて解説しています。

 

はじめに

起業することは、以前に比べると、身近なものになったように思われます。
かつては、起業というと、のるかそるか、安定した収入を捨てて私財を投げうって起業、失敗すれば全財産を失い、再挑戦も難しいから、自身の人生を賭けて行うもの、というような捉えられ方がされたこともありました。

現在では、国の政策で、起業を増やそうということで色々な制度の整備が進んだり、インターネットの発達で、ビジネスを行うために必要な情報やサービスが容易に手に入るようになり、サラリーマンを続けながらでも起業できるようになっています。
そのため、起業のハードルはかつてに比べるとだいぶ低くなり、悲壮な決意をせずともできるようになったと思われます。

しかし、そうはいっても、それは『起業を行いやすくなった』ということであって、『起業で成功しやすくなった』ということとイコールではありません。
現在でも、自分のやりたいことをやりたい、自分の思うとおりに仕事がしたい、というだけで、見通しもなく、ただなんとなく起業しても、事業を続けていくことは、なかなか難しいと思われます。

少し古いデータですが、2006年の中小企業白書に、事業所の経過年数別生存率というデータが載せられていました。
このデータを少し加工すると、起業した個人事業主・企業の寿命が計算できるのですが、それが次の表になります。

これによれば、起業した事業者の1年後の生存率は72.8%、3年後は52.8%、10年後は26.1%です。
言い方を変えると、1年で27.2%、3年で47.2%、10年で73.9%の事業者が廃業するということで、起業した事業者の半数は起業後3年で廃業しているというわけです。

ちなみに、国税庁が公表している納税者数に関するデータでは、白書が出版された前の年、2005年の事業者(『普通法人』+『農業従事者でない個人事業主』)の数は、約490万、2019年は約450万と、40万ほど減少しています。
そのため、上記の数字が劇的に改善されたということはなさそうに思われますので、だいたい、起業後3年で半分くらいの事業者が廃業すると考えてもよいのではないかと考えられます。

そのように、事業を始めるハードルは下がったけれど、続けていくハードルは下がっていない起業
その起業を考えている方が、起業に踏み出すか、踏み出さないかを決めるときに考えてほしいことを、今回のブログではご紹介していきたいと思います。

すでに起業することを決めた方にとっては不要かもしれませんが、この記事を読んで再度考えてみることで今後の事業戦略や施策の実行の役に立つことがあると思いますので、ぜひ、お読みいただいて、参考にしてみてください。

 

起業する前に考えたいこと

起業をしようと思ったら、まず最初に考えたいこと、それは、『起業する目的』です。
自分は何のために起業をしたいのか、ということを明確にするということで、『想い』と言ってもいいかもしれません。

一番最初に考えるべきことは、起業して何をするのか、何をしたいのかではないか、と思う方もいらっしゃると思います。
また、そうしたものは自明なので、事業の成功の可能性を考えるべきでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、そうしたことから考えることが間違っているわけではありません。

しかし、どのような順番で考えるかといったときには、『起業の目的』を一番最初に考えるのがよいように思われます。
なぜかというと、起業してビジネスを行っていく時に、やるべきこと、進むべき方向を決めたり、迷ったり悩んだりしたときに自らを奮い立たせてくれるものは『起業の目的』やそれに対する『想い』だと思われるからです。

よく言われることではありますが、旅に出る際に、目的地や進むべき目的の方角(≒目的地)が決まらないことには、旅に出ることはできません。
逆に、目的地が決まれば、どちらに向かって進めばいいのかといった方向や、歩いていくのか、車や電車・飛行機などで行くのかといった方法、費用や持ち物などといった必要なものも決まりますし、果たして、その目的地に費用や時間を使ってまで行くべきなのかという判断・決断もすることが可能になります。

また、勉強なども、最終学年になって、●●高校、●●大学に行く!といったような目的が設定されていると(程度の差はあれ)一生懸命勉強しようとするものの、そうでない、受験を意識しておらず、中間・期末テストくらいしかないような学年のときには、あまり熱心に勉強しなかった、という経験を持っている人も多いと思います。

同じようなことが、起業の場合にも当てはまるのです。

 

『起業の目的』はビジネスの進む道を方向付ける

例えば、今、あなたが、ラーメン屋さんを始めることにして、どんなお店にしていこうか考えているとしましょう。

ラーメン屋さんの経営の仕方は千差万別ですが、話を簡単にするために、基本的な経営の仕方としては、次の3つがあるとします。
① こだわり型: 値段はちょっとお高めだけど、味にとことんこだわったラーメンを提供する
② 低価格型: 値段は財布にやさしく、味の方も標準的なラーメンを提供する
③ バランス型: 値段は標準的、味の方も標準的なラーメンを提供する

あなたなら、この3つの経営方針の中から、どの経営方針をとりますか。

。。。と質問されたら、あなたは何と答えるでしょうか。
おそらく、ほとんどの人は「決めようがない」と考えると思います。

なぜでしょうか。
それは、これを読んでいるほとんどの人は、たまたまこの記事を読んでいるだけで、ラーメン屋さんを始めるなどという考えや目的を思っておらず、経営方針を決定するのに必要な情報も提示されていないからです。

しかし、ここで、「あなたは、とある系のラーメン屋さんや、ラーメンに見えるけどラーメンではない別の食べ物を提供するお店など、色々なラーメン屋さんで修業をして得た知識と経験を全て込めて、素材にもこだわった究極のラーメンを提供するラーメン屋さんを始めたいと思っている」という、目的に関する情報が示されたらどうでしょうか。

『素材にもこだわった究極のラーメンを提供』とあるので、先ほどの3つの経営方針の中から選ぶとなれば、自然と『① こだわり型』を選ぶでしょう。

「大きく儲けたい」というのであれば、『② 低価格型』の方針をとることが多くなるでしょう。
値段が安い方が販売できる数は多くなると期待できますので、安くすることによって減少する利益よりも、販売数量の増加で得られる利益の方を大きくなるようにコントロールできるのであれば、大きな利益を期待できるからです。

また、「仕事のストレスを避けて、プライベートの時間を大切にして、経済的には人並みの暮らしをしていけるようにしたい」というのであれば、『③ バランス型』を目指すことになるでしょう。

そして、経営方針が決まることで、他の色々なことも決まっていきます。

例えば、『① こだわり型』であれば、スープにはあれを使って、麺はこれを使って、チャーシューには超有名豚さんの肉を使うから、原価がこれだけかかるので、ラーメンの値段は●円にしよう、とか、ラーメンだけだと利益があまり出ないから、ギョーザとか、から揚げなどのサイドメニューも置こう、のように、商品の構成や価格が決まるでしょう。

大きく儲けたいということで、『② 低価格型』をとるのであれば、値段を安くするために、材料が無駄にならない効率的な調理の工夫をしようとか、より安く仕入れられる仕入先を探そうとか、人件費を抑えられるように少人数でも回せるようなお店のレイアウトにしよう、などと、お店をどのように運営していけばよいかということを考えていくでしょう。

『③ バランス型』であれば、値段も味もメニューも標準的・一般的となると、新しいお客さんをどんどん獲得していくということが難しい場合が多いので、来店してくださったお客さんに繰返し来店してもらえるような接客やお店の雰囲気づくりを工夫するなどが必要になるでしょう。

このように、目的がないと何をすればよいのかが分からないため、具体的な行動に移れないことが多いですが、目的を定めれば基本方針や具体的なやるべきことを考えやすくなるのです。

また、起業後に事業を進めていくと、ほとんどの場合、困難な事態に陥って難しい決断を迫られたりします。
その時に、その決断の方向性を決めるものが「起業の目的」であることが多いように思われます。

例えば、自分ではこだわりにこだわって作ったラーメンで、絶対に売れると思って起業してみたものの、思うように売れずに、資金が尽きそうになったとします。
そして、色々と調べてみたところ、思うように売れないのは、そのラーメンは、おいしくはあるものの、値段が高く、上品な味なので頻繁に食べに行きたいとは思えないラーメンであったからだとした場合。

もし、起業の目的が「大きく儲けたい」であったなら、提供しているラーメンへのこだわりよりも、売れることを優先して、価格を下げたり、レシピをアレンジすることで頻繁に食べたくなるような味にできるのであれば、そうしたラーメンを新しくメニューとして提供するなどが考えられるでしょう。

一方、「素材にもこだわった究極のラーメンを提供したい」なのであれば、そう簡単に値段を下げたり、別メニューを出したりといったことはできません。
値段を下げれば利益が減ってしまいますし、別メニューを出すとなると、自身の「究極のラーメンを提供したい」という目的を放棄することになるので、それはできない、と考える人もいるでしょう。
あくまでも、そのお店で、目的を果たしたいというのであれば、インターネットで広くお店を紹介して、遠くからの来店を促すようにする、ということも考えられます。

また、閉店することも選択肢の一つになってきます。

例えば、都心のような新規のお客さんが訪れやすい立地であれば、リピーターが少なくてもお見せを続けていける可能性があるため、一旦、今のお店は閉めて、別の仕事をして資金を貯めながら、都心にお見せを出せる機会を待つというのは一つの考え方です。

いずれにしても、困難な事態に陥った時には決断を迫られるわけですが、どんな決断をするか、
その決断に方向性を与えてくれるのが「起業の目的」「想い」なのです。

そして、決断をしたときに、その決断したことをどれだけ実行に移せるか、それを決めるのは、その「目的」に対する想いの強さです。

たとえ、目的があったとしても、自分のために、家族のために、など、どうしても成し遂げなければならないんだ、という強い想いを抱けないと、困難に際して決断できませんし、決断しても徹底して実行することができませんし、そもそもの話として、強い想いがなければ、困難を克服しようとも思いませんし、困難であることにすら思い至らないものです。

勉強でも、自分が絶対行きたいと思う高校や大学に、推薦やAOで行きたいという人であれば、中間・期末テストでいい点を取ろうと努力して勉強をすると思いますが、特に進学など考えていない人であれば、普段もテスト前も、特に勉強をすることもなく、実際にテストを受けて赤点を取って初めてどうしようと思うものだと思います。
学校の勉強であれば、追試などで何とかなりますが、ビジネスにおいては、そんな救済措置があるとは限りません(ないことがほとんどでしょう)。

そのため、起業する時に最初に考えたいことは、『起業する目的』『想い』だと思われるのです。

 

『起業する目的』をはっきりさせてみる

『起業する目的』を考えるといっても、それほど難しいことを考えてひねり出す必要があるけではありません。

自分がかなえたい希望を言葉にするだけです。
希望は人それぞれではありますが、類型化してしまえば以下のようなところになるのではないでしょうか。

  • ① お金持ちになりたい
  • ② 自分の理想をかなえたい
  • ③ 自分の思いついた商品やサービスを作りたい
  • ④ 自分の能力を自由に使ってみたい
  • ⑤ (他)人の願いをかなえてあげたい

そして、希望を言葉にしてみたら、それが自分にとってどれだけ大切な想いなのか、希望の強さをランク付けしてみるとよいと思います。

例えば、次のような感じです。

  • ① 自分の宿命or運命
  • ② 絶対にかなえたい
  • ③ かなえたい
  • ④ かなえられたらいいな

かなえられるか、かなえられないかと、『可能性(Probability)』でランク付けするのではなく、自分が生きていく上で、それは不可欠なのかそうでないのかという『必要性(Necessity)』でランク付けしてみるとよいと思います。
成功する上で最も大切なことは、成功するまで続けることです。
そして、様々な困難があっても成功するまで続けるには、何があっても成し遂げたい目的・想いが必要です。

立派なビジネスプランがあって、お金や人財、情報など、事業を行うのに必要なものが揃っていても、それを実際にスタートさせなければ、成功はできません。
逆に、そうしたものに恵まれていなかったとしても、時間はかかるけれども、一つ一つ段階を踏みながら必要なものを揃えていくことで目的を達成することはできます。

大切なのは行動することで、人が行動するには動機が必要ですが、その行動の動機となるのが「目的」や「想い」というわけです。
そのため、起業する希望が明確になったら、その希望の強さをランク付けしてみるといいのです。

そして、その想いの強さが②のように強いものであるのなら、実際に起業に向けて動き始めることができるでしょうし、①であるのなら、宿命や運命が導いてくれるでしょう。
逆に、起業に向けて一歩踏み出せないのであれば、③や④であることが多いように思われます。

 

まとめ

今回の記事では、「起業する前に考えたいこと」として、『起業の目的』『想い』について、お話してきました。

他にも色々とやるべきことがある中で、なぜ、『起業の目的』を一番最初にしたのかというと、それは、起業してビジネスを行っていく時に、やるべきことや進むべき方向を決めたり、迷ったり悩んだりしたときに自らを奮い立たせてくれるものは『起業の目的』やそれに対する『想い』だからです。

そして、事業や会社経営を進めていく中で、ほぼ必ず、困難な事態に直面することになりますが、その時に、その困難をどのように克服するかという解決策を考え出したり、決断をして、その解決策を実行するための方向性を示したり、動機付けをしてくれるものが『起業の目的』や『想い』だからです。

ですので、もし、今、起業を考えているのでしたら、ぜひ、『起業の目的』について考えてみてください。

その上で、起業しようと思われたなら、このWebサイトには、起業するための色々なお役立ち情報を掲載していきますので、それらを読んで、起業のお役に立てていただければ幸いです。

また、当社では、起業だけでなく、ビジネスを進めるための様々なサービスを提供しておりますので、ぜひ、ご利用ください。

 

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